(1)器の素材により味が変わる事実

土鍋で調理した料理は、アルミ鍋やステンレス鍋での料理に比べて、
だれもが美味しいといいます。
これはなぜなのでしょう。
器の素材により、味が変わってくるのでしょうか。
そう、素材によって、事実味は変わるのです。
簡単な実験でこれは証明できます。
陶器製(セラミック)の食器(または土鍋)とプラスチックの食器を用意して、
それぞれに醤油をたらしてみます。
この両方の醤油をなめて比較した場合、その歴然とした味の差に驚かれるはずです。
プラスチックの食器にたらした醤油は、その醤油成分がプラスチックの素材成分の影響を受け、味に変化を起こしてしまっています。
ペットボトルの水やお茶を常温で飲んだ時、
石油臭い味に顔をしかめた方もいらっしゃると思います。
これもやはり水のミネラル分やお茶の成分が、
ペットボトルの素材成分を溶解してしまっているからです。
常温でもこのような変化があるのですから、100度に近い高温調理の鍋の中で、
塩、醤油、味噌、砂糖、酢などの調味料を加えた場合、
アルミやステンレス、鉄などの金属鍋の素材成分の溶解が起こることは、
容易に想像がつきます。
土鍋で調理した料理は、金属鍋に比べてだれもが上品で美味しいという理由は、
こうした塩、酸、アルカリに影響を受けない特性があるからなのです。
注:大妻女子大学の井上源喜教授による
「飲料容器から溶出する環境ホルモンの潜在的危険性」
の論文を無料で送らせて頂きます。
(6)美味しいご飯の特長

・ピカピカとツヤがあってきれい。
・カニ穴が多い。
・ご飯粒が大きくて立っている。
・おねばがしっかり出ていてモチモチ感がある。
・冷めてもパサつかず、柔らかくしっとりとしている。
・甘みがあり、おむすびにすると、ますますご飯の
旨みを感じる。
・蒸らしがしっかりできている。
(グルタミン酸やアスパラギン酸が増えて旨みが増す)

「稲穂の国」といわれる我が国ですが、その長い歴史において、
玄米や雑穀はずっと土鍋で炊きあげられてきました。
無理に高温高圧をかけて玄米を炊くという、
不自然な炊飯方法が普及したのは、ここ数十年のことです。
IH炊飯器や電磁調理器の歴史はさらに浅く、
専門家から電磁波の危険性が指摘されていて、
未だ不完全な調理器具の域を出ていません。
スローフードやロハスが注目され、またマクロビオティックの普及により、
自然な調理法の持つ優れた点が、改めて認められる時代になりました。
従来の「玄米は圧力鍋」というイメージは、
「玄米は土鍋」という常識に今や変わりつつあります。
(7)玄米を炊いて違いを見る〔土鍋vs圧力鍋〕

玄米といえば圧力鍋、というイメージが一般的のようですが、
しかし実際に土鍋と炊き比べると、その常識は覆ります。
【圧力鍋で炊いた玄米ご飯】
無理に高温(120度以上)高圧をかけたために、
玄米の酵素が活性化する以前に米粒の組織が崩れてしまい、
米粒の形が小さくなっています。
酵素の働きが不十分なため、中の澱粉質が高温で糊化し、
粘っこくて固い玄米ご飯となっています。
色も茶褐色に変色し(褐変反応)、
それをジャーで保温しますと、ますます茶色くなり、
玄米の澱粉、蛋白質、脂質類が酸化していきます。
これが胃もたれの原因なのでしょう!
【土鍋で炊いた玄米ご飯】
ガス火を使って土鍋で炊きますと、ビタミンB1の減少が少なく、酵素が活性化します。
米粒が大きくふっくらとして(含水率が高い)、
甘みのある柔らかい玄米が炊きあがります。
色も玄米とは思えない、白米に近い自然な白さで、消化吸収の良いご飯です。
・大切なビタミンB1の損失も

表が示すように、
栄養面でも土鍋と圧力鍋には大変な違いがあります。
圧力鍋で玄米ご飯を炊くと、生玄米のもつビタミンB1が
32%も減ってしまいます。
ビタミンB1は体に大切なビタミンで、消化を助け、
神経や筋肉の機能を正常に保つために必要です。
これが不足すると脳や神経系に影響があらわれ、
脚気、記憶力の低下、疲労倦怠感、肩こり、
腰痛、食欲不振などを引き起こすといわれています。
(8)玄米を炊いて違いを見る〔土鍋vs IH電気炊飯器〕
玄米ご飯は白米より硬くて噛みにくく、
粘っぽくて硬く、又はボソボソとして消化しずらい食感だと思われています。
下記グラフで示すように、土鍋で炊いた玄米は、
付着・粘りともIH炊飯器の約2倍ほど数値が高いのです。
(付着と粘りが高いほど美味しいご飯の証明です)
硬さ:噛む際の力を表す。この数値が高いほど硬いのです。
粘り:ご飯から歯を離す際に必要な力で、ご飯の粘りを表します。
こし: ご飯の噛みごたえ。噛んだ際に切れたり変形するほどコシがあります。
付着: ご飯から歯を離す際の力。ご飯が歯にひっつく具合です。付着がないものとして、豆腐、プリンがあります。
・玄米の特性

(10)ご飯がよく炊けると、鍋の中でご飯粒は太めでピンと立っています。
土鍋のご飯粒(米粒が太くピンと立っている)

IH炊飯器のご飯粒(米粒が勾玉のように曲がっている)

お米は炊き始める前は寝ていますが、鍋の中が沸騰し、
水蒸気の泡が底から上がってくると、米はその力で立ちあがります。
そしてこの時、カニ穴が出来るのです。
ご飯粒が立つこととカニ穴は連携しており、どちらもご飯がよく炊けた目安になります。
写真を見ても分かるように、土鍋で炊いたご飯粒はまっすぐで、
太めに炊き上がり、ピンと立っています。
一方、IH炊飯器のご飯粒は勾玉のように曲がっています。
これはIH炊飯器の火力が弱くて、炊飯力が劣り、水分の吸収が不十分なためなのです。
(11)実験データが解明する 土鍋がIH炊飯器よりも優れている理由

400グラムの同じ量の玄米を、炊く前に水につけたところ、
2.8グラムほどIH炊飯器の玄米のほうが多く水分を吸って重くなりました。
(「玄米ご飯の炊飯試験結果データ」(1)(2))
そこで2つの鍋の中の水分が同じになるように(810グラム)、それぞれ加減して水を加えました。(3)
そして炊き上げたところ、土鍋は1129.2グラムの玄米ご飯が出来たのに対して、
IH炊飯器の方では94.8グラムも少ない1034.4グラムでした。(4)
米と水分の量は同じなのに、炊き上がったご飯の重さに違いが出たのは、
土鍋で炊いた玄米の方がIH炊飯器よりも、より水分を多く吸収しているからです。
それで炊き増え分に差が出ています。(5)
これは直接火を使った土鍋炊飯の方が、伝導熱のIHよりも火力が強く、
その結果、鍋の中の対流が激しく行われ、
自然な燃える火での加熱、土鍋の効能作用によって、
米の水分の吸収率が高くなっていることを意味しています。(7)
実際、炊飯時に失われた水分の量は、土鍋では80.8グラムだったのに対して、
IHでは2倍以上の175.6グラムでした。(6)
土鍋で炊いた玄米の持つ、あのモチモチ感や粘りのある美味しい食感は、
この水分含有率の高さからも読み取れます。よく炊けた目安になります。
【考察】 平田孝一 (株)サントク代表取締役 現 アイホー炊飯研究所 所長
■炊飯結果
炊き増え2.82倍(通常白米ご飯では2.25~2.35倍)、米飯含水率68.9%(白米ご飯では62~63%)、味度値86(玄米では考えられない数値。白米ご飯でも最高の数値といえます)。
■総合評価
今回マスタークック土鍋とIH炊飯器で玄米を炊いてみて、玄米炊きのIH炊飯器でもよく炊けているが、さらによく炊き上がっているのがこの土鍋であった。マスタークック土鍋には構造と材質の特性効果が秘められていることが考察できた。






